浜松発信の総手縫いのレザーブランド、leather works ittenの革職人のブログ。物づくりを通して日々感じたことなどをつぶやきます。

高級感

みなさん、こんにちは。

sassiです。









今日は、久しぶりにまじめなお話・・・


マメ知識です。






しばらく前に“手縫いの特徴”とし、3回にわたり【手縫い糸】のお話をしました。


手縫いの特徴 vol.1

手縫いの特徴 vol.2

手縫いの特徴 vol.3







そして、今回は総革張り合わせ・豪華仕様の財布のご注文を頂いたので
糸のお話も絡め、作風のお話をしたいと思います。



まず、手縫いの革製品=ワイルドやバイカーズアイテムという
イメージを持つ方も多いと思います。


しかし、作風がワイルドになるか上品になるかは作り方次第!!!


革のチョイスから始まり、
・各パーツの厚み
     ・それに伴う芯材の選択
     (使用する場合) 
・糸の種類、太さ
                   ・縫い穴のピッチ、大きさ、開け方、道具の違い
       ・縫いのテンションの掛け方
           ・エッジ(断面)からステッチの間隔
                    ・ステッチより外側の処理の仕方    ・・・・etc.



これら各工程の違いが最終的な作風に大きく影響してきます。
そして、ミシンと違い手縫いに言える事は、
薄く、柔らかい素材ほど綺麗に仕上げるのが難しいという事。
厚みがあり、コシのある革、作風は比較的難しくはないです。





今回の財布は総張り合わせなので、各パーツを制作することから始まります。
しかも、ジャケットの内ポケットに入れるような上品で薄い、
それでいてしっかりとした財布です。



従って各パーツも激薄。。。
例えばカード入れのパーツは張り合わせて1㎜。
という事は0.5㎜の革の張り合わせになりますね。
0.5㎜という革の厚みがピンとこないかもしれませんが
手縫いにしてはかなり薄いです。
しかし、銀面(革の表面)どうしになるので強度的には大丈夫。



と、ここで問題なのが、ステッチの太さです。
総張り合わせという事は、全てのカット面にステッチを掛けるという事です。
ただでさえステッチにテンションが掛かる手縫いでは
これだけ薄い革を縫うとヨレヨレになってしまう事と、
ステッチが、薄い革より立体的に飛び出て、摩擦の原因になります。
なにより見た目も良くないです。






そこで・・・







高級感






各部位に合わせて、糸を割って太さを調整します。
左が元の太さ(太めです)、右は三等分しています。
部位によっては1/2で。


世の中に出回っているシニュー糸は撚りがない物が多く
自分で撚って使用します。
しかし、太い事と数年後に蝋が抜けてきた時に繊維感がワイルド過ぎて
個人的にはあまり好きではないし、使用しません。

通常はしっかりとした撚りのある糸を使用しますが、
元々撚りのある糸を割っても撚りが綺麗にならないので
糸を割って調整する場合は、撚りのないシニュー糸を使用し、
割って、撚って、蝋を引いて縫います。


糸のボリュームを調整したら、今度は立体感です。
このままだと、ジャマです。
ボリュームを落した時点で大分平らくはなりますが、それでもまだです。

方法のひとつにステッチをかける部分に溝を掘り、沈み込ませる手段がありますが、
銀面を削り取ってしまう為、あまり好きではないのでやりません。
ステッチラインを引く際に専用の道具で銀面を沈ませてから縫い上げていきます。
表面、裏面共に極力フラットになるように仕上げます。


テンションを調整しながら・・・





高級感






作風や素材、厚みなどが変わればそれに合わせて
糸の太さや製造工程、道具、仕上げ方が変わってくるのは当然です。

今回はパンツのポケットには入れないという事なので
それに合わせた芯材を使用し、インナーパーツとなる革は
0.3㎜〰0.6㎜でという部位に合った厚みで調整。
どこまで芯材を入れるかと、テンションの掛かる所の補強と処理。


そして、薄くてしっかりとした高級感のある財布を制作していきます。




素材も“最高級”ですよ(^o^)丿
まだ仕上がってきていませんが・・・



お楽しみに・・・





それでは・・・





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