みなさん、こんにちは。
今日は、クリエイター以外は絶対に興味がないであろう、
パイピングに使用する芯材について・・・
大胆にも記事にしていきたいと思います。
クリエイティブな部分に興味や知識がなくても、
モノづくりをする上で、一般的には気が付かないような点まで、
いろいろと試行錯誤しながら向き合っているという事が伝われば幸いです。
さて、皆さんはパイピング(玉ぶち)の芯材には何を使用していますか?
そもそも、手縫いでハード目のアイテム、インナーなしの構造など、
そのような作風がメインの場合には、パイピングという技法に触れた事がない方もいると思います。
パイピングの作り方は、芯材を薄い革で包んでいきます。
芯材を考える時に意識しなければいけないポイントは、
・硬さ(芯材の密度)
・しなやかさ
・先端(断面)の処理
・密着性
・作業性
・芯材のコスト
これくらいですかね。
そして、一般的に入手でき、芯材として使用できる選択肢は、
・芯入りナイロンロープ
・丸革
・ナイロン組紐(綿組紐も含む)
・綿ロープ
・ポリ芯
そして、これらを項目別に分けた個人的な評価はこちら。
結果を見て頂いて分かるように、私は芯入りナイロンロープを使用しておりますが、
それぞれの芯材の解説です。
【芯入りナイロンロープ】
私の考える条件を全て満たしている素材。
芯入りのナイロンロープはしっかりとしたコシがあり、丁度良い。
弾力もないので、変形や伸び縮みもなし。
故に、制作時にしっかりとした谷ラインを出す事ができる為、作業性よし(画像あり)。
先端の熱処理、素材との密着性も良し。
コスパも抜群。
【牛丸革】
牛革を丸く紐状にした素材。
本来は芯材としてではなく、アクセサリー用のストラップなどに使用する目的。
機能性などは芯材として適していますが、何と言っても圧倒的にコストがかかります。
1作品だけで考えれば良いですが、数十メートル~百メートル単位で仕入れる事を考えると、
あまり現実できではないと感じます。
【ナイロン組紐】
手芸屋さんなどで簡単に手に入る為、比較対象として一応エントリー。
ナイロンで先端を溶かす事ができる点や、接着剤との相性を考えるとまずまず。
しかし、繊維の密度がゆる過ぎて、柔らかすぎる。
また、弾力があり伸び縮みする点は致命的。
完成したパイピングは柔らかく、変形する。
接着時の谷のライン出しも不向き(画像解説あり)
【綿ロープ】
太さの選択肢は豊富。
しかし、綿素材は熱処理ができず、年単位での劣化に不安あり。
また、網目模様次第だが、ロープの表面に凹凸模様があるものもあり、
薄い革で包んだ際、ロープの凹凸が出てしまうおそれあり。
コシがない点も不向き
【ポリ芯】
おそらくレザークラフトでも最も一般的な選択肢。
レザークラフトのカタログにも掲載されている、唯一のパイピング用芯材。
太さ、硬さ、素材、コストは問題なし。
しかし個人的には密着性に欠けると・・・
革素材とツルツルしたポリの表面の接着不良が数年後には起きるリスクあり。
特に、パイピングの先端を最後本体内側に曲げ入れた部分。
接着不良が起き始めると、曲げた部分から徐々にポリ芯が飛び出てくる可能性あり。
その分、反対のパイピング内は空洞になってしまう。
あくまでもリスクです。
以上です。
では、手元にある芯材で比較してみましょう。
まずは硬さ、コシです。
比較素材は芯入りナイロンロープ(茶)、ポリ芯(白)、ナイロン組紐(薄紫)。
芯入りナイロンロープとポリ芯は、ピンと真っ直ぐなのに対し、
ナイロン組紐は垂れ下がってしまいます。
では、芯入りナイロンロープ(右)とナイロン組紐(左)で
実際にパイピングを制作したものを比較してみます。
まずは芯入りナイロンロープ。
素材にコシがあり、モチモチしていない為、
パイピングの形状がしっかりと丸い形になります。
押しても潰れません。
そして、目打ちの先端で指している部分。
くっきりとした谷ラインが出ます。
それにより、縫い穴を開ける際、より確実で美しいステッチワークが可能となります。
次に、ナイロン組紐で作ったパイピング。
組紐がモチモチし、伸びたり縮んだり。
押したら平らに変形してしまう為、パイピングも変形します。
また、芯材の弾力だある為、くっきりとした谷ラインを出しきれず。
本体を組み合わせ、縫い穴を開ける際などラインが分かり難くなり、
失敗するリスクあり。
如何でしょうか!?
あくまでも個人的な感想と、私の作風や使用皮革による判断基準ですが、
このような結果に基づき、パイピングの芯材を選んでおります。
単純に素材の善し悪しではなく、革との相性や
数年単位でのリスクなど、トータル的な視点での判断となります。
勿論、教室の生徒さんも同じ芯材を使います。
最後に、ナイロンロープでも芯が入っていないものはコシがなかったり、
弾力のあるものもございますので、気を付けて下さいね。
それでは・・・
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